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就業不能補償保険について

保険については全く詳しくないですが、就業不能補償保険という保険があるそうです。日経新聞のオンライン版に、就業不能補償保険に心の病特約が付いた商品が日生から販売されるという記事が掲載されていました。心の病によって就業不能となった場合に、その期間の所得を補償する商品だそうです。企業側は、これで安心して、心身ともに疲れ果てるまで労働者をこき使うことができるようになるのでしょうか?これは、保険のモラルハザードが問題になる場合ですが、この種の保険というのは、生活防衛のために活用できる可能性がありそうです。とりわけ自営業、自由業、小規模企業経営者の場合には、病気や怪我で働けなくなると、その日から収入が閉ざされてしまいます。

就業不能期間の所得を補償してくれる保険があれば、生活防衛資金の額を減らすことが可能になるのかもしれません。就業不能補償保険は長期療養時の所得を補償するだけなので、勤務先の倒産などによって無職になった場合の所得まで補償してくれるわけではありません。従って、就業不能補償保険は、生活防衛資金が活躍する全ての場面をカバーできるわけではありませんが、サラリーマンであれば、勤務先の倒産などによって無職になった場合の所得は失業保険でカバーされますし、自営業や自由業であれば、取引先が倒産した場合、新たに取引先を探せばよいだけです。とすると、長期療養時の所得を補償してくれれば、生活防衛資金が活躍する場面のかなりの部分をカバーしてくれることになりそうです。

就業不能補償保険は、医療保険とは異なり、治療費ではなく、所得を補償することを目的としています。従って、治療が不要であるが、働けない状態のときも所得を補償してくれるそうです。ピアニストが指を失って、指の治療は終わったが、結局、ピアニストとして働けなくなったような事例です。治療が必要な場合でも、医療保険は治療費をカバーするだけなので、別途所得を補償してもらうことには意味があります。

労働環境が悪化しており、企業側にも余裕がなくなっているので、長期的な治療を要する病気に罹ると、真っ先にリストラの候補に挙がるのが現実だと思われます。保険料支払いの負担というデメリットに比べて、生活防衛資金を減額し、その分を投資に回せるというメリットが大きいと判断すれば、検討の余地ありといえるかもしれません。

参考サイト:日立キャピタル損保の長期所得補償保険
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生命保険の売却に関する最高裁判決 その2

前回の記事の復習

「重い病気にかかって働けなくなった52歳の男性が、生活に困って、AIGスター生命保険と締結していた生命保険契約を解約しようとしたところ、解約返戻金は28万円にしかならないことが判明。このため、日本初の生命保険買取りベンチャー企業「リスク・マネジメント研究所」に保険加入者の地位を849万円(死亡生命保険金2830万円)で譲渡した。約款では、譲渡には保険会社の同意が必要である旨の規定があったため、男性はAIGスター生命保険に対して譲渡に同意して名義を変更するように申し入れたが、AIGスター側は「人命の売買等に等しく、モラルリスクに抵触する。」として、保険の売却への同意を拒否。そこで、男性は、譲渡への同意と名義の変更を求めて提訴。一審、二審ともに男性側敗訴後、最高裁判所に上告。上告棄却。」

この事案を投資の視点で考えてみると、重い病気にかかって働けなくなった男性にとって、死亡時に受け取る2830万円(実際には遺族が相続する。)より、現在受け取る849万円の方が何倍もの価値があります。他方、生命保険買取会社にとっては、現在の849万円より、男性の死亡時に受け取る2830万円の方が価値があります。つまり、この契約は、男性にとっての現在価値と生命保険買取会社にとっての将来価値との等価な交換ということができます。生命保険買取会社が不当に安く買い叩いたという事情がなければ、男性にとっても納得のいく契約であり、福祉の観点からも望ましい契約であるという点が重要です。

既にアメリカでは、この種の生命保険売買が盛んに行われていて、セカンダリーマーケットが非常に発達しています。生命保険売買の実情については株式会社リスク・マネジメント研究者のホームページに詳しい記載があります。また、アメリカには、Life Insurance Settlement Associationという協会もあります。

さらに、アメリカでは、生命保険売買が一歩進んで、ファンドの形態になっており、ライフセツルメント・ファンドと呼ばれています。上記の事案では、生命保険買取会社が買い取り資金を負担していますが、これを不特定多数の投資家が負担するわけです。このように多数の投資家を介することで、資金を集めやすくなるだけでなく、モラルハザードを防ぐことも可能になります。つまり、生命保険の買取人は、保険を売却した被保険者が死亡しなければ利益(生命保険金)を現実化できないわけですから、被保険者の死期を早める行為(殺人など)を行うというモラルハザードが起き易いわけですが、不特定多数の投資家と保険の売却人との間には個人的なつながりがありませんから、このようなモラルハザードは起きないわけです。

投資商品としてみた場合、余命確率さえ計算できれば、期待リターンを求めることが可能ですので、株式より債券に近い投資といえ、実際、アメリカでは、定年後の堅実な資産運用の手段として人気が高いです。

また、この種のファンドは、株価や金利の影響をあまり受けず、基本的に、時が経つにつれて価値が自然増加していくのが特徴です。時間が経つにつれて、生命保険金を受け取れる確率が増加していくからです。

このように、裁判で争われた事案は、金融問題としても捉えることができますし、社会福祉の問題としても捉えることができるのですが、何れにしろ、日本でも生命保険の売却に関する法制度の整備を真剣に議論するべき時が来ていると思います。老後資金の心配の筆頭は医療費ですから、生命保険の売却を可能とすることによって将来不安を軽減し、可処分所得を増えしてやれば内需の拡大にも寄与すると思います。

老後の金銭面に関する不安と、退職後の堅実な資産運用のニーズ
の両方を満たせる生命保険ファンドの日本への導入が待たれます。

生命保険の売却に関する最高裁判決 その1

プライマリーマーケットやセカンダリーマーケットという言葉をご存知でしょうか?日本語では、前者は発行市場、後者は流通市場と呼ばれています。例えば、自動車でいうならば、新車の販売市場がプライマリーマーケット、中古車の販売市場がセカンダリーマーケットといえます。

呼び名からすると、セカンダリーマーケットというのは、二次的で従属的な市場であり、プライマリーマーケットに比べて一段劣る市場であるような印象を受けます。しかし、金融の世界に限らず、セカンダリーマーケットというのは非常に重要な役割を果たしています。仮に、自動車のセカンダリーマーケットである中古車販売市場がなかったとしたらどうなるでしょうか。この場合、自動車の持ち主は車を転売できませんから、車を手放す必要が生じたケースでは廃棄処分にするか、車を購入してくれる人を個人的に見つけなければなりませんが、廃棄処分にするのはもったいないですし、購入者を個人的に見つけるのは大変です。このようにセカンダリーマーケットを持たない商品は、処分が困難であるために購入が控えられ、プライマリーマーケットもやせ細ってしまうのです。従って、その名前とは裏腹に、セカンダリーマーケットは、プライマリーマーケットに負けず劣らず重要な市場といえるのです。

金融商品の場合も同様です。株式を好きなときに売却できなければ、株式を購入する人は激減するでしょうし、債券や通貨でも、流通性が劣るものは不人気です。

ところが、メジャーな金融商品であるにもかかわらずセカンダリーマーケットを持たないものがあります。それは生命保険です。実際に問題となっているのは、生命保険の加入者が癌などの重大な病気に罹って金銭的に苦境に陥った場合です。生命保険を換金するためには、現在のところ、①死亡して生命保険金を受け取る、②解約するという方法しかありませんが、①は死亡した後のことですから、事実上、②の方法があるだけです。このような事案が現実に裁判になって争われ、2006年10月に最高裁判決が下されました。具体的な事案は以下のとおりです(週間ダイヤモンド2006年/11/18号p.19を参考にして要約)。

「重い病気にかかって働けなくなった52歳の男性が、生活に困って、AIGスター生命保険と締結していた生命保険契約を解約しようとしたところ、解約返戻金は28万円にしかならないことが判明。このため、日本初の生命保険買取りベンチャー企業「リスク・マネジメント研究所」に保険加入者の地位を849万円(死亡生命保険金は2830万円)で譲渡した。約款では、譲渡には保険会社の同意が必要である旨の規定があったため、男性はAIGスター生命保険に対して譲渡に同意して契約者の名義を変更するように申し入れたが、AIGスター側は「人命の売買等に等しく、モラルリスクに抵触する。」として、保険の売却への同意を拒否。そこで、男性は、譲渡への同意と名義の変更を求めて提訴。一審、二審ともに男性側敗訴後、最高裁判所に上告。上告棄却。」

一審裁判所は、「不当に安く買い取られる危険性も指摘され、保険会社の同意拒否は不当とは言えない」、「融資を受けられる」などの理由で「保険会社の同意拒否は不当とは言えない。」と判示しました。

しかし、一般論として言えば、そもそも生命保険という金融商品自体、命に値段を付ける商品なわけですから、生命保険の存在を認める以上、譲渡に限って「人命の売買等に等しく、モラルリスクに抵触する」という理屈は通りません。もちろん、具体的事案では、「不当に安く買い取られる危険性」や「病気を隠して保険に加入し、転売する危険性」が存在するのは事実ですが、このような悪用の可能性は保険という金融商品に内在しているリスクですから、個別的に妥当性を判断していけば足りる話です。特にこの事案では裁判所が介入しているので、「不当に安く買い取られている」と判断したのであれば譲渡価格を上方修正させれば済むだけの話です。また、価値判断としても、生命保険の譲渡を許可しないことによって男性は逆に著しい苦境に陥るわけですから、モラルリスクを楯にとって譲渡を認めないことは逆にモラルに反するといえるはずです。皆さんは、どのように考えるでしょうか?

さて、ここまでは、社会福祉の話ですが、この事案は金融の話にもつながっていきます。詳細は、次回にお話したいと思います。

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