今日は、海外預金の報告義務についてその内容を見ていくことにします。
1998年に外為法が改正されて、事前承認から事後報告へと規制が緩和されました。当時、金融ビッグバンと呼ばれた画期的な大改正です。
事前承認が不要であったとしても、何らかの規制は必要ですので、事後的な報告義務が課されたわけです。海外預金の報告義務もその一環です。
「海外預金の報告など知らないし、していない」という方も多いと思いますので、その内容について詳しく検討していきます。
まず、海外預金は、外為法上の「資本取引」に該当します。
外為法20条
資本取引とは、次に掲げる取引又は行為・・・をいう。
一 居住者と非居住者との間の預金契約
従って、日本に居住している者が、非居住者である外国の銀行に預金した場合には、「資本取引」に該当します。
次に、外為法上、資本取引には、報告義務があります。
外為法55条の3
居住者又は非居住者が次の各号に掲げる資本取引・・・の当事者となつたときは、政令で定める場合を除き、当該各号に定める区分に応じ、当該居住者又は非居住者は、その都度、政令で定めるところにより、当該資本取引の内容、実行の時期その他の政令で定める事項を財務大臣に報告しなければならない。
一 第20条第1号に掲げる資本取引 居住者
従って、海外預金をしている居住者は、原則、財務大臣への報告義務があることになります。
→定義上、居住者が非居住者と預金契約を締結している場合が資本取引に該当するので、仮に日本人が海外預金した場合でも、その者が
海外に居住していれば、報告義務はないことになります。
→法人だけでなく、
個人も報告義務者です(外国為替令18条の5第3項第1号)。
「そのような報告はしていない」という方がほとんどだと思いますが、外為法55条の3には、「政令で定めるものを除く」という文言があるので、それに該当すれば報告義務は不要であることになります。
この点について定めているのが外国為替令です。
外国為替令18条の5
法第55条の3第1項に規定する政令で定める場合は、居住者又は非居住者が当事者となつた資本取引が次に掲げる資本取引のいずれかに該当する場合とする。
一 法第55条の3第1項第1号から第9号までに掲げる資本取引のうち、財務省令で定める資本取引の区分に応じ財務省令で定める小規模のもの
つまり、「財務省令で定める小規模のもの」であれば、報告義務は不要だということです。
この点について定めた省令が「外国為替の取引等の報告に関する省令」です。
第5条(報告を要しない資本取引の範囲)
令第18条の5第1項第1号に規定する財務省令で定める小規模の資本取引は、次の各号に掲げる資本取引の区分に応じ、当該各号に掲げる資本取引とする。
一 法第55条の3第1項第1号から第6号までに掲げる資本取引・・・ 当該資本取引の額が一億円に相当する額以下のもの
従って、現在のところ、海外預金の額が1億円以下であれば、報告義務はないということになります。
ただ、この額は省令で定められているだけなので、この額が将来的に下げられるのではないかという懸念は残ります。
さらに、1億円を、香港の銀行とシンガポールの銀行に分けて運用している場合はどうなるか?などの疑問が出てくると思いますが、この点については明日検討します。
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