学校教育における「奉仕活動の必修化」という政策の是非についてCriticalに検討しています。
学校教育における「奉仕活動の必修化」という政策の許容性について検討します。この許容性を検討するために、まず、以下の問いを検討します。
問い:一般論として(=つまり教育以外の場面で)、奉仕活動(=利他的行為)を義務化することが許されるか?
憲法18条に、意に反する苦役(=広く本人の意思に反して強制される労役のこと)を禁ずる旨の規定があるので、この問いに対する法的な答えは、「許されない」です。ただ、これは、法律に禁止する規定があるというだけで、実質的な理由とは言えませんので、義務化が許されない実質的な理由について検討します。
まず、奉仕活動を義務化することが法的に許容されると考えた場合に、理論的にどのような政策が可能となるか考えます。理論的に可能となる政策が社会通念上絶対に許されないものであれば、奉仕活動を義務化することが許容されるという仮定は誤りということになります。
「一般論として(=つまり教育以外の場面で)、奉仕活動(=利他的行為)を義務化することが許される」と仮定することは、無償で奉仕活動を広く国民一般に強制させることを肯定することになりますから、有償での労働の強制はなおさら肯定されることになります。このことは、働いていない者を国家が強制労働に駆り出せることを意味することになりますので、現代国家では到底許容できない政策です。
奉仕活動(他人や社会の役に立つ行為)という語感につられて義務化(=強制)が許されると誤解しがちな方が多いようですが、上に述べた理由で、強制は許されません。
そこで次の問いを検討する必要があります。
問い:一般論としては許されないとしても、教育の一環として、奉仕活動(=利他的行為)を義務化(=強制)することは許されるのではないか?
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