個人の投資の場合にも、本業に差し支える投資と本業に差支えがない投資があります。
本業に差支えがない投資としては、アセットアロケーションを考えた上で、ETFなどコストの安い金融商品を購入し、1年に1回程度リバランスをするというものがあります。
投資そのものを悪だと考えるのでなければ、1,000万円単位の資産を普通預金に長期間寝かせておくことは妥当でなく、資産の一定割合を株式投資に回すことは経済合理性のある行為であり、将来の生活防衛の観点からも不可欠だといえるはずです。
企業の場合にも、本業に差し支える投資と本業に差支えがない投資があるはずで、合理的な資金調達を行うように努力したり、無意味な借金を返済するように努めたりすることは、むしろ本業を継続していく上で不可欠といえます。
前々回の記事で、自己資本と他人資本の割合を最適にすることは、個人投資で例えれば、アセットアロケーションをきっちり組むのと同じようなことだと述べました。
<個人投資家のアセットアロケーション>
株式=期待リターンが高いが、リスクも高い
債券=期待リターンが低いが、リスクも低い
↓
この2つを適切な割合で組み合わせて、リスクを抑えながらリターンを追及する
↓
本業と両立し得るし、生活防衛の観点からも望ましい
<企業の資金調達>
株式=コストが高いが、安全性も高い
借金=コストが低いが、安全性も低い
→投資家と企業では立場が正反対になるので、株式はコストが高く、安全性が高い資金調達手段となる
↓
安全性とコストを勘案しながら、最適な資金調達を行う
↓
本業と両立し得るし、企業防衛の観点からも望ましい
WACCに基づいて、適切な資金調達を行うというのは、個人投資家でたとえれば、アセットアロケーションに基づいて、適切な資産運用を行うようなものです。
コストのかかる株主資本で資金を集めておきながら、全くそれを活用していない状態は、個人でたとえれば、サラ金で借金して、財布に入れたまま全く使わない状態ですから、なるべく早く返済して(株式を消却して)おくべきだという意見(当たり前の意見)がファイナンスの専門家のブログに記載されていました。
これに関して、「ものづくりだけに専念し、その製品に惚れた人だけが株主になる。 そんなパブリック企業があっちゃいけないでしょうか。アクティビストが支配できたとしても永続的にキャッシュフローを維持できるのでしょうか。ファイナンスの理論だけでは通用しない市場の秩序というものが必要と思います。」という、ある意味で非常に日本的な興味深い反論がコメント欄に記載されていました。
この反論は日本における多数意見であると思われますので、これについてcriticalに検討したいと思います。
(続く)
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