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生命保険の売却に関する最高裁判決 その1

プライマリーマーケットやセカンダリーマーケットという言葉をご存知でしょうか?日本語では、前者は発行市場、後者は流通市場と呼ばれています。例えば、自動車でいうならば、新車の販売市場がプライマリーマーケット、中古車の販売市場がセカンダリーマーケットといえます。

呼び名からすると、セカンダリーマーケットというのは、二次的で従属的な市場であり、プライマリーマーケットに比べて一段劣る市場であるような印象を受けます。しかし、金融の世界に限らず、セカンダリーマーケットというのは非常に重要な役割を果たしています。仮に、自動車のセカンダリーマーケットである中古車販売市場がなかったとしたらどうなるでしょうか。この場合、自動車の持ち主は車を転売できませんから、車を手放す必要が生じたケースでは廃棄処分にするか、車を購入してくれる人を個人的に見つけなければなりませんが、廃棄処分にするのはもったいないですし、購入者を個人的に見つけるのは大変です。このようにセカンダリーマーケットを持たない商品は、処分が困難であるために購入が控えられ、プライマリーマーケットもやせ細ってしまうのです。従って、その名前とは裏腹に、セカンダリーマーケットは、プライマリーマーケットに負けず劣らず重要な市場といえるのです。

金融商品の場合も同様です。株式を好きなときに売却できなければ、株式を購入する人は激減するでしょうし、債券や通貨でも、流通性が劣るものは不人気です。

ところが、メジャーな金融商品であるにもかかわらずセカンダリーマーケットを持たないものがあります。それは生命保険です。実際に問題となっているのは、生命保険の加入者が癌などの重大な病気に罹って金銭的に苦境に陥った場合です。生命保険を換金するためには、現在のところ、①死亡して生命保険金を受け取る、②解約するという方法しかありませんが、①は死亡した後のことですから、事実上、②の方法があるだけです。このような事案が現実に裁判になって争われ、2006年10月に最高裁判決が下されました。具体的な事案は以下のとおりです(週間ダイヤモンド2006年/11/18号p.19を参考にして要約)。

「重い病気にかかって働けなくなった52歳の男性が、生活に困って、AIGスター生命保険と締結していた生命保険契約を解約しようとしたところ、解約返戻金は28万円にしかならないことが判明。このため、日本初の生命保険買取りベンチャー企業「リスク・マネジメント研究所」に保険加入者の地位を849万円(死亡生命保険金は2830万円)で譲渡した。約款では、譲渡には保険会社の同意が必要である旨の規定があったため、男性はAIGスター生命保険に対して譲渡に同意して契約者の名義を変更するように申し入れたが、AIGスター側は「人命の売買等に等しく、モラルリスクに抵触する。」として、保険の売却への同意を拒否。そこで、男性は、譲渡への同意と名義の変更を求めて提訴。一審、二審ともに男性側敗訴後、最高裁判所に上告。上告棄却。」

一審裁判所は、「不当に安く買い取られる危険性も指摘され、保険会社の同意拒否は不当とは言えない」、「融資を受けられる」などの理由で「保険会社の同意拒否は不当とは言えない。」と判示しました。

しかし、一般論として言えば、そもそも生命保険という金融商品自体、命に値段を付ける商品なわけですから、生命保険の存在を認める以上、譲渡に限って「人命の売買等に等しく、モラルリスクに抵触する」という理屈は通りません。もちろん、具体的事案では、「不当に安く買い取られる危険性」や「病気を隠して保険に加入し、転売する危険性」が存在するのは事実ですが、このような悪用の可能性は保険という金融商品に内在しているリスクですから、個別的に妥当性を判断していけば足りる話です。特にこの事案では裁判所が介入しているので、「不当に安く買い取られている」と判断したのであれば譲渡価格を上方修正させれば済むだけの話です。また、価値判断としても、生命保険の譲渡を許可しないことによって男性は逆に著しい苦境に陥るわけですから、モラルリスクを楯にとって譲渡を認めないことは逆にモラルに反するといえるはずです。皆さんは、どのように考えるでしょうか?

さて、ここまでは、社会福祉の話ですが、この事案は金融の話にもつながっていきます。詳細は、次回にお話したいと思います。
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