プロフィール

PALCOM

Author:PALCOM
Patent and Legal Com (HK) Ltd.

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

全ての記事を表示する

FC2カウンター

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

住民投票について

先日、大阪府知事に当選した橋下氏が、岩国市の米軍基地移転問題に関して行った発言が波紋を呼んでいるという記事を読みました。

-----------------------------------------------------------
橋下氏が「国の専管事項である防衛政策に自治体が異議を差し挟むべきではない」「間接代表制をとる日本の法制度上、直接民主制の住民投票の対象には制限がある」と持論を展開。これに対して、井原氏が「国民が国政にものを言うのは当然」と反論すると、1日に「憲法を全く勉強していない」などと再反論した。
-----------------------------------------------------------

基地移転問題という、イデオロギーによって左右されがちなテーマですが、ここでは、国の専管事項である政策に対して、自治体は異議を差し挟めないのか、仮に、自治体が異議を差し挟むことが許容されるとしても、住民投票という手段は許容されないのかが問題となります。今後、財政再建団体一歩手前の地方自治体に、お金をちらつかせて、議会を懐柔し、不人気な施設を押し付けることが増えてくると予想されるので、それらの自治体の住民である場合、このような事態を念頭に置いておくべきでしょう。

日本は、国政レベルで間接民主制を採用しており、直接民主制は禁止されています。従って、国家レベルでの意思決定に国民投票を採用することは違憲です。

しかしながら、今回の住民投票は、国政レベルでの意思決定を行うために為されたものではなく、岩国市としての意思決定を行うために為されたものです。地方レベルでは、議員、首長の選挙権・解職請求権、議会の解散請求権など、直接民主制的な制度が多数導入されています。従って、地方自治体、特に、市町村のような規模の小さな自治体(町村レベルでは、個々の町村民に条例制定権を与えることも可能)ほど、首長や議員は民意に拘束されるレベルが高くなります。従って、基地移転問題のような市民に大きな影響を与える事案については、法的拘束力のない住民投票で住民の意思を確認することはむしろ望ましいことだといえます。

ただ、今回は、単に市政に関する意思決定をするという単純な事案ではなく、国政上の意思決定が先に為されており、それが岩国市の意思決定と対立している事案です。まず、地方自治体は、国とは独立した団体ですので、基地移転に関して、市益を考慮して、市として独自の意思決定をすることは当然認められます。さらに、国政上の意思決定と市の意思決定が対立している場合に、市の意思決定に際して、法的拘束力のない住民投票を行うことができるかという問題ですが、憲法95条には、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」という規定があります。国政レベルで間接民主制を採用し、直接民主制を廃しているのは、少数者の権利を保護することが目的なので、住民意思という少数意思を尊重する目的で直接民主制を採用することは憲法も認めるところです。今回の事案は、憲法95条の要件は満たしていませんが、国益のために、特定の地方公共団体の住民の利益が侵害されるケースでは、憲法95条に準じて、住民投票に伏すことが望ましいといえるでしょう。但し、95条の要件を満たしていないので、国政上の意思決定を覆す効力までは認められませんが、本件では、市政上の意思決定としての法的効力すらないので、憲法上の問題は生じません。

「間接代表制をとる日本の法制度上、直接民主制の住民投票の対象には制限がある」という持論には、法的な正当性はないといえます。政治家として、何故、岩国市に基地が必要かをという政治的な説明をすべきでした。

いずれにしろ、府益と国益が対立する場合に、国と対峙していかなければならない府知事としては、お粗末過ぎる発言です。


スポンサーサイト

<< 混合診療と医療亡命 その1 | ホーム | 政府系ファンドについて >>


コメント

岩国住民より

岩国市住民かつファイナンシャルプランナーのsakuraと申します。
お初にお邪魔させていただきます。

はからずも今日は岩国市長選挙の日ですよ(笑)。

>今後、財政再建団体一歩手前の地方自治体に、お金をちらつかせて、議会を懐柔し、不人気な施設を押し付けることが増えてくると予想されるので、それらの自治体の住民である場合、このような事態を念頭に置いておくべきでしょう。

おっしゃるとうりです。
これはいち岩国という地域の問題に限らず、札束の力により一部の政治家と官僚たちの思いどうりになる国になるかどうかの瀬戸際かと。
あらゆる国政にかかわる問題(社会保障から公共事業まで)が含まれているのではないかと。

カネには道理がつきものでございます。
橋下氏は住民に対する説明責任というものを財政再建団体一歩手前の首長としてどう考えられているのか疑問です。国益とバッティングする問題はスルーなんでしょうか。

国家・地域にとっての最高の資産とは、国土とそこに住む住民でありこれが創富の元でしょう。

はじめまして。

岩国在住のFPの方からコメントをいただけるとは思いませんでした。
ありがとうございます。

選挙結果は、基地移転容認派の勝利でした。結果はともかく、選挙の投票率が75%を超えたそうです。本来であれば、常にこの位の投票率でなければならないと思います。

今回の問題は、岩国市の基地問題と狭く見るべきではなく、「札束の力により一部の政治家と官僚たちの思いどうりになる国になるかどうか」という問題と考えるべきだと思います。もちろん、これまでもそのような傾向はあったわけですが、とりわけ、倒産寸前の自治体が多いことから、この傾向に拍車がかかると、際限がなくなるのではないでしょうか?

ところで、その倒産寸前の自治体の筆頭である大阪府の知事が、破産する前から、国の政策に異議を挟むなといっているわけですので、この先が思いやられます。もちろん、これは大阪府民の選択ですので、その結果は府民が感受しなければならないわけですが、実際には、そこまで予想して投票している方は少ないのでしょう。




少しずつ病んでいく国から今のうちに少しでもお金を引っ張り出しておきたいと思うのは(愛国心や郷土を思う心などの情緒的な感情を抜きにすれば)極自然な行動の様にも見受けられます。

そのうち以前のような嫌われるような施設の自治体間の押し付け合いから、(マネーとセットで)奪い合いの構図に変化していくでしょうね。

今の世界に武士はくわねどの精神を期待するのは残念ですが自分も含め無理のような気がします。

はじめまして。通りすがりのものです。

>>破産する前から、国の政策に異議を挟むなといってい>>るわけですので、この先が思いやられます。
彼は「国の政策に異議を挟むな」とは言ってないと思いますよ。

>>市長が国にものを申せばいいのであって、住民投票と>>いう手段を使うべきではない。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200802030031.html

マルマルさん

刑務所などの不人気施設の奪い合いは、既に始まっているようです。ただ、国の財政自体が逼迫している以上、いつかは国に頼れなくなるので、やはり、このやり方も持続性があるとはいえないように思います。

誠さん

政治ブログなどを見ていると、このような反論をよく見受けますが、このようなレベルで選挙民が争っていると為政者の思う壺です。

ブログの記事に詳しく書きましたが、「市長が国にものを申せばいいのであって、住民投票という手段を使うべきではない。」という主張そのものが誤りなのです。これを前提にすると、この発言は、「国の政策に異議を挟むな」という意味になるわけです。

従って、いただいたコメントでは全く反論になっていません。

言葉は、そのまま受け取るべきでなく、発言者の言動や人格、常識、論理などで加工して解釈すべきだということはお分かりかと思います。

例えば、某銀行に「お客様第一主義」と書かれていても、この銀行は、顧客を大事にする銀行だと思う人は少ないでしょう。サービス業がお客様第一なのは当然だから、それをわざわざ前面に出すのは、顧客を軽視しているのだろうと思うはずです。

町村氏が、「ガソリン税を下げると、環境に悪い」と発言しましたが、額面どおり、環境のことを考えていると受け取る人は少ないでしょう。

同様に、憲法の基礎知識と橋下氏が弁護士であるという前提があれば、「市長が国にものを申せばいいのであって、住民投票という手段を使うべきではない。」=地方自治の否定と解釈できるわけです。


間接民主制について

間接民主主義について、誤解が多いです。間接民主主義についての基礎知識がないと、「市長が国にものを申せばいいのであって、住民投票という手段を使うべきではない。」という発言が、何故、地方自治の否定と解釈できるのか理解できません。

間接民主制では、個々の国民や住民ではなく、選挙によって選ばれた代表者が立法権を行使します。従って、間接民主制下では、①立法者は国民意思や住民意思に、法的な意味で拘束されませんし、②国民投票や住民投票で法律や条例を制定することはできません。

間接民主制を都合よく利用したい政治家は、①=民意を無視してよいと曲解しがちです。①は、法的拘束力がないといっているだけであって、民意を無視してよいという意味ではありません。民意に、逆らうときには、説明責任が求められます。

特に、自治体の規模が小さくなるほど、民意への拘束力が強くなっていますので、今回のように、市という小規模な地方自治体が、住民に大きな影響を及ぼす政策を決定する場合には、市長は極めて大きな説明責任を負うわけです。従って、今回の場合には、法的拘束力を持たない住民投票を行うことが望ましいといえます。

以上を前提とすれば、「市長が国にものを申せばいいのであって、住民投票という手段を使うべきではない。」という発言は誤りで、この発言の重点は、前段ではなく、後段(=住民投票という手段を使うべきではない)にあることが明らかです。

ここからさらに敷衍すれば、住民軽視、民主主義軽視の態度があり、橋下氏の頭の中では、国>自治体>住民という序列があるのだろうと推測できます。

これが事実かどうかは何れ分かることです。

自分なりに、論理的な結論が出たので、誰も読まないと思うが備忘録として記しておくことにしたい。

吉野川河口堰問題や巻町の原発問題などで、住民投票が行われた際にも、自民党議員や大臣から、間接民主制を盾にして住民投票を否定する意見が述べられている。ただ、彼らは国側の人間であるから、意見の是非はともかくとして、そのような立場で物をいうことは理解できる。しかし、自治体の首長である橋下氏が同様の発言をしたとなると話は違ってくる。地方財政の窮乏に伴い、この種の問題は頻発することが予想されるので、問題の整理をしておく必要があると思われる。

橋下氏の発言:
「国政の防衛政策に関し、地方自治体が異議を差し挟むべきではない。市長が国にものを申せばいいのであって、住民投票という手段を使うべきではない。憲法が間接代表制という建前をとっている以上、直接民主制の住民投票の対象も絞られるべきだと思う。」

①国>地方自治体という考えを肯定する場合

まず検討しなければならない問題は、国>地方自治体という考えが橋下氏の頭の中にあるのではないかということである。「市長が国にものを申せばいいのであって、住民投票という手段を使うべきではない。憲法が間接代表制という建前をとっている以上、直接民主制の住民投票の対象も絞られるべきだと思う。」というフォローはしているものの日ごろの言動や憲法知識の怪しさ(間接代表制という用語はなく、間接民主制か、代表民主制が正しい。)からすれば、発言の第一文が真意であるという推測が可能である。

基地問題は岩国市民の生活や生命に重大な影響を及ぼすので、少なくとも事実上は、自治体や住民の問題でもあることは間違いない。しかし、法的に、国>地方自治体という序列を肯定すれば、自治体の意見は法的には無視されることになるので、法的な意味では、基地問題は自治体や住民の問題ではなくなる。法的な意味では、基地問題は自治体や住民の問題ではないのだから、「国政の防衛政策に関し、地方自治体が異議を差し挟むべきではない。」というのが氏の主張の真意であろう。そして、事実上、市長が国に意見を言うことまでは否定しないが、住民投票という法律的な手段を使って異議を唱えるべきではない。なぜなら、法的な意味では、基地問題は、専ら国政上の問題であって、自治体や住民の問題ではないからである。これが、橋下氏の発言の真意であると考えられる。この場合、橋下氏の発言の第三文は不要であるということになる。橋下氏が、「国>地方自治体という考え」を持っていることさえ肯定してしまえば、橋下発言は非常に素直に理解できる。

②国>地方自治体という考えを否定する場合
本音では、「国>地方自治体という考えを肯定している」のに、さすがに、自治体の首長として、それはまずいということから、「憲法が間接代表制という建前をとっている以上、直接民主制の住民投票の対象も絞られるべきだと思う。」という理由付けをしたと推測される。

まず、「国>地方自治体という考えを否定する」のであれば、法的な意味においても、基地問題は、国防上の問題として国家的問題であると同時に、岩国市民の生活や生命に重大な影響を及ぼす自治体レベルの問題であることを認めてよいことになるだろう。岩国市は、防衛政策としての基地問題に口を挟んでいるわけではなく、市民生活に重大な影響を及ぼす問題としての基地問題に口を挟んでいるわけである。この場合、自治体レベルの問題に対して、どのような意思決定手順を用いるかは、自治体独自の問題といえる。一般に、地方レベルでは直接民主制が優位な制度を採用しているので、必ずしも間接民主制的な意思決定をする必要はない。

また、仮に自治体レベルでの意思決定においても、間接民主制に従った意思決定をしなければならないとしても、橋下発言には説得力がない。法的拘束力のない住民投票を行って、民意を参考にしながら、民意に拘束されずに意思決定を行うことは、間接民主制的な意思決定だと解されているからである。

そうすると、橋下氏の発言を善意に解釈すると、「①重大な国家的問題について、代表民主制の手続きに則り、国政上の意思決定が為されている場合に、②地方自治体が異議を唱えるときには、③地方自治体の意思決定においても、徹底した代表民主制の手続きに則るべきであり、④従って、法的拘束力のない住民投票であっても認められない。」という新しい主張ということになる。「法的拘束力のない住民投票」を否定する根拠がよく分からないが、敢えて言えば、首長の意思決定に法的な影響を及ぼさなくても、事実上の重大な影響力を与える行為は控えるべきだというのが根拠となると思われる。しかし、この意見を認めれば、基地問題に反対している首長のリコール(法的な影響力を及ぼす行為)はもちろん、意見の表明(事実上の影響力を及ぼす行為)まで全て封じられることになりかねない。結局、法的拘束力のない住民投票を認めないという制度は、徹底した代表民主制などではなく、民主制の否定であるといえる。

間接民主制を盾にとって、本音を隠す戦略は、論理的には成り立っていないと考える。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。