リンク先の乙川乙彦の投資日記に、木村昭二 (1999.2) 「税金を払わない終身旅行者」総合法令出版という書籍に関して、以下の疑問が記載されていました。私自身は、PTを目指すつもりはないので、この本を読んでいませんが、海外移住指向のある海外投資家の多くは同著を読んでいると思います。確か、マンガ版も出ているはずです。
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本書の p.42 10行目〜13行目の1段落の意味がよくわかりませんでした。
『「Aさんの場合、「日本の居住者」であり米国の非居住者になりますから、米国では預金利子に対する税金を支払う必要はありません。米国の場合、米国に住んでいない非居住者の利子所得については、原則30%の源泉徴収がなされますが、非居住者の預金や国債、社債の利子所得については非課税となっているのです。」
どうも、何かが抜け落ちているようにしか読めません。』
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乙川乙彦の投資日記 2008年2月17日付け記事より引用たまたま、私がアメリカにおり、IRSに提出するためにアメリカの税金について調べていたので、上記の記述の意味は分かりました。原文の書き方だと、「米国非居住者の利子所得は30%源泉徴収だが、米国非居住者の利子所得は非課税だ。」としか読めず、意味が全く分かりません。
米国の場合、属人主義を採用しているからだと思いますが、アメリカの税法上、外国人は居住者又は非居住者に区分されます。非居住者に区分される外国人は、非居住外国人(nonresident alien)と呼ばれます。税制において属人主義を採用しているのは、先進国ではアメリカくらいですので、この区分そのものが特異なものです。属地主義を採用している国では、国籍ではなく居住国のみを基準とすればよいので、ことさらに外国人と自国人を区別する必要がなく、単に非居住者(non-resident)と呼べばよいことになります。
居住外国人と非居住外国人は、申告すべき所得の範囲が異なります。居住外国人は、税法上、基本的にアメリカ人と同様の取り扱いを受け、全世界所得について申告しなければなりません。他方で、非居住外国人は、米国に源泉のある所得のみを申告すれば足ります。しかも、米国に源泉のある所得を全て申告しなければならないわけではなく、「実質関連所得(effectively connected U.S. source income)」のみを確定申告します。実質関連所得というのは、役務を提供することによって得た所得のことで、分かり易く言えば、不労所得の反対語のようなものです。
「利子、配当、ロイヤルティー権利使用料などの投資所得は、「非実質関連所得」として原則30%の源泉徴収税の対象となります。この種類の所得は、源泉徴収税(源泉分離課税)で課税関係が終了します。」
大島襄著2006年度版日本人・日本企業のためのアメリカ税金ハンドブックp.105より引用
冒頭に引用した木村氏の本の中の「非居住者の利子所得については、原則30%の源泉徴収がなされます」という記述は、「非実質関連所得(利子、配当、ロイヤルティー権利使用料などの投資所得のこと)については、30%の源泉徴収がなされるのが原則です」という記述に読み替える必要があります。
ただ、非実質関連所得に分類される所得の多くは、種々の政策上の都合や条約に基づいて、30%の源泉徴収という原則が大幅に変更されています。預金利子がその典型で、米国内の税法の規定に基づいて、非居住外国人の預金から生じた利子は無税になります。
従って、「非居住者の預金や国債、社債の利子所得については非課税となっているのです。」という記述は、「非実質関連所得に分類される所得のうち、預金や国債、社債の利子については、米国内の税法や日米租税条約の規定に基づく特例によって、非課税となっているのです。」という記述に読み替える必要があります。
以上より、「米国の場合、米国に住んでいない非居住者の利子所得については、原則30%の源泉徴収がなされますが、非居住者の預金や国債、社債の利子所得については非課税となっているのです。」という記述は、以下のようになります。
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「非実質関連所得(利子、配当、ロイヤルティー権利使用料などの投資所得のこと)については、30%の源泉徴収がなされるのが原則ですが、非実質関連所得に分類される所得のうち、米国非居住外国人の預金や国債、社債の利子については、米国内の税法や日米租税条約の規定に基づく特例によって、非課税となっているのです。」
→なお、社債の利子については、非課税ではなく、課税が原則だという記述が前掲のアメリカ税金ハンドブック(2006年度版)p.114に記載されています。他方で、米国債や地方債などの公債の利子については、非課税が原則だと記載されています(同書p.113)。
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