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書評:企業年金減額に立ち向かう法(阿部芳郎著、本の泉社)

書名どおり、企業年金を減額された人たちが企業年金減額を撤回するために裁判で戦った記録が、周辺知識の整理とともに記載されています。

世の中には、価値観があまりに異なっているので、議論の土俵にすら載らないテーマがあります。憲法9条論争などがその典型です。本書のテーマは、企業年金減額の撤回であり、その底には、国や企業は国民や労働者の老後に責任を持つべきだという考え方が流れています。この考え方に立てば、確定給付年金が正しいということになるでしょう。従って、確定拠出年金には否定的で、「なぜ、こんな高利回りが・・・と疑問に思われますが、種明かしは、その大部分が投資信託で運用されているからです。投資信託は、元本保証がなく、リスクを伴う投資です。これが「日本版401K」といわれる個人年金の実際の姿です。これまでの安全・確実とされてきた企業年金に変えて、「自己責任」で管理する、損するのも得するのも本人次第です。株価が高いうちは高利回りが保証できるものの、下落した場合は、マイナス利回りも覚悟しなければなりません。」と記載されています(p.92)。投資を行っている者としては、「投資信託は、元本保証がなく、リスクを伴う」、「これまでの安全・確実とされてきた企業年金に変えて、「自己責任」で管理する」、「損するのも得するのも本人次第」であることは常識だと思っている、根本的な考え方が異なっているように感じました。最後の著者経歴を見ると、「しんぶん赤旗」の日曜版編集部などでデスク、記者を歴任したと記載されていましたので、理由が分かりました。

高度経済成長時代には、安全・確実な企業年金を保障することが、企業にとっても、労働者にとってもメリットがあったのでしょうが、本来、自分の老後は自己責任が原則だと思います。もちろん、自己責任論の乱用には気をつけなければなりませんし、既に為されてしまった確定給付の契約を自己責任論のみで確定拠出の契約に変えることはできないでしょうが、GMを見ていても、度を越した保障は会社の存続そのものを危うくするはずです。退職金や企業年金には賃金の後払い的な性質があるとすれば、一方的に減額されるのは納得がいかないかもしれませんが、長期金利が1%台であるご時勢に、5%とか7%というような運用利回りを保証するのもどうかと思います。

各論的な知識として、諸外国の制度や確定拠出年金制度導入の経緯などが記されています。また、訴訟現場からのレポートという副題がついているとおり、NTTの年金減額訴訟を筆頭にいくつかの事例が具体的に紹介されていました。裁判所は、どういう理由で年金の減額を認めるのか、あるいは認めないのかを具体的に知ることができます。

確定拠出年金制度導入が米財界の強い要望によって導入されたことが記載されており(p.80)、確定拠出年金の資産残高が伸びないことに対して、在日米商工会議所がいらついているそうです。自己責任論を肯定するとしても、自己責任論を建前にして、国が不公平な制度を導入することに対しては気をつけなければならないと思います。
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