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均衡予算定理について その1

以前に書いた、「政府資産があるから財政危機ではないのか その4」という記事にえんどうさんからコメントをいただきました。経済学者の小島寛之先生が書かれた「乗数効果なんて、幻なんだってば!」という記事がリンクから読めなくなっているので、その内容を教えてほしいというコメントです。

-----------------------以下引用-------------------
前回は、ケインズ理論の「乗数効果」についての標準的な説明を紹介した。「乗数効果」とは、財の需要が供給可能量まで達しない状態で均衡しているとき(つまり不完全均衡のとき)、政府が税金を徴収してそれと同額の公共事業を実施すれば、総生産が同額だけ増加し、その分追加的雇用が発生して失業が解消し、所得が増加し景気がよくなる、そういうものだった。重要なのは、このメカニズムでは「公共事業の内容は問われていない」、という点である。それこそケインズのいう「穴を掘ってはまた埋める」ような公共事業さえ同額の効果があるように見える。だが、そんな「魔法のようなこと」が世の中に本当にあるのか、とまっさきに疑うのが科学的な態度というものではないか。しかし、この「乗数効果」は長い間問題にもされず、大学で平然と教えられ、公務員試験で堂々と出題され続けてきたのだ。かくいうぼくも、何かおかしい、と感じながらもきちんと検討してこなかったのだから、もちろんこれをとやかくいう資格はない。
ところがつい最近、このことをはっきりさせた論考がやっと現れた。それが第4回で書評した小野善康『不況のメカニズム』であり、その大元になっている学術論文はこれである。小野は、「内容を問わない公共事業」の乗数効果なんかまやかしであり、そんなものは存在しない、ということを論証した。つまり、魔法なんかインチキだ、という「オズの魔法使い的おとしまえ」をつけたのである。小野の議論をおおざっぱにまとめると次のようになる。(詳しくは論文でどうぞ)。
IS-LM理論での混乱は、「お金の流れ」と「実効的な生産」とをないまぜにしている点にある。
前回、「乗数効果」を証明するときに使った2つの式
 [総生産]= [消費]+[投資]+[政府支出]・・・(3)
 [総生産]=[国民所得]= [消費]+[貯蓄] +[税金] ・・・(4) 
を思い出そう。この式では、政府が「税金」を徴収してそれを国民に返すだけで(3)と(4)で同時に同額だけ[総生産]が増える。ここには「その税金で何が行われたか」が問われない。これが、「あたかも無駄な公共事業でも総生産が増える」かのように見えるという詐術の出所なのである。つまり、(3)という総生産を定義する国民会計にバグがあった、単にそういうことなのだ。
このことをもっとはっきり理解するために、次のような思考実験をしてみよう。今、政府は1億人の国民から1人10万円ずつ税金を徴収する。次に、政府は国民に対して、印鑑を持って最寄りの役所に出向けば、「その労働」に対して10万円の報酬を払う、と告知する。するとどうなるだろう。「役所に出向くという労働をさせる公共事業」によって国民に1億×10万円=10兆円の所得が発生する。したがって(3)でも(4)でも総生産と国民所得は10兆円増加することになるわけだ。だけど、よく考えてみよう。ここで起きていることは、国民各自から10万円が政府に行ってまた戻ってきただけだ。実際的な生産物には何も変化が起きていないのだ。これが「無駄な公共事業による乗数効果」のからくりなのである。単に「会計上で、あたかも所得が増えたように見える」だけの話なのである。会計の取り方に致命的な欠陥があるわけだ。(系列会社の間で資金を行き来させて売り上げの水増しをはかる粉飾決済ってのが、このからくりだよね?)
---------------------引用終了---------------------
http://wiredvision.jp/blog/kojima/200707/200707241130.htmlより引用


小島先生の議論が正しいかを判断するためには、議論の基礎となっている小野論文を読むのが科学的態度かもしれませんが、なかなかそこまでの能力と時間はありません。代わりに、「この「乗数効果」は長い間問題にもされず、大学で平然と教えられ、公務員試験で堂々と出題され続けてきたのだ。」という事実があるかどうかを確かめるべく、近所で公務員試験の参考書を買ってきました。「20日間で学ぶマクロ経済学の基礎」(実務教育出版、野本淳子著)です。

小野先生の著作「不況のメカニズム」の第2章には、国民経済計算の欠陥という項(p.71-74)があります。P.75-76には、この議論を踏まえて、赤字公債と乗数効果という項があります。国民経済計算の欠陥という項の冒頭を少し引用しますと、「マクロ経済学の教科書には、均衡財政上数は一であるという命題がある。この命題はホーベルモー(T.Haavelmo)によって明確に述べられたため、ホーベルモーの均衡予算定理とも呼ばれる。その意味は、「資金を増税でまかなう公共事業にはちょうどその支出規模だけの所得増大効果がある」ということである。

経済学を学んだことがない者には難しく聞こえる均衡予算定理について、若干の検討を加えたいと思います。

(続く)
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コメント

「政府が税金を徴収して」という前提が誤りです。たとえば明治政府は当初税収が得られなかったため、もっぱら通貨発行で歳費を調達しましたがインフレにはなりませんでした。

前提が誤りというご指摘の意味がよく分かりませんでした。

えんどうさんが考察しようとしているのは、徴税以外の方法で政府が資金を調達するケースなので、税金を徴収するケースを例にするのは不適当ということでしょうか?

また、小島先生は、マクロ経済学に書かれている乗数効果の説明がおかしいとおっしゃっているだけであり、インフレの話はでてきません。

えんどうさんが考察したい命題とその論理付けを教えてくだされば幸いです。

私が説明するより「国債を刷れ!」という本に詳しく書いてあります。
あえて私なりに説明するなら下記でしょうか。


(1)政府が現実にとれる資金調達手段は徴税以外も存在する
(2)ところが、徴税のみを考慮して乗数効果を否定する理論が存在する
(3)よって、徴税のみをもって乗数効果を否定する理論は誤りである

えんどうさん

コメントありがとうございます。徴税のケースのみをもって乗数効果を否定することは正しくないというご意見ですね。

ところで、徴税のケースにおいては乗数効果は否定されるという説明は納得いただけたと考えてよろしいのでしょうか?記事本文に書きましたように、小野先生の本には、徴税のケース(財政が均衡しているケース)の直後に、赤字公債と乗数効果という項があります。必ずしも、徴税のケースのみから一気に赤字公債を発行しても無効だと主張しているわけではありません。その意味で、やはり、徴税のケースを基本形態として考察しておくことには意味があると思います。

>徴税のケースにおいては乗数効果は否定されるという説明は納得いただけたと考えてよろしいのでしょうか?
それは「否定」の定義によります。上記引用文の『ここで起きていることは、国民各自から10万円が政府に行ってまた戻ってきただけだ。実際的な生産物には何も変化が起きていないのだ。これが「無駄な公共事業による乗数効果」のからくりなのである。単に「会計上で、あたかも所得が増えたように見える」だけの話なのである』を肯定するなら乗数効果は否定できるでしょう。ですが『ここで~ある』を肯定して乗数効果を否定するなら信用創造のメカニズムも否定する事になりませんか?

コメントありがとうございます。

『ここで~ある』を肯定すると、とにかくお金を回せば国民所得は増えるということで、それもおかしいように思います。

詳しくは、本文にて検討したいと思います。

増えるのは国民所得ではなくてGDPですよ。
>赤字公債と乗数効果
増発した国債は国会決議を経れば日銀に買い取らせることができます。
http://diamond.jp/series/noguchi_economy/10002/?page=2
日銀の利益は国庫に戻りますので、実質的に政府紙幣と効果は変わりません。

エントリーで引用した記事にも[国民所得]という言葉使われていますし、多くの教科書でも国民所得と呼んでいると思います。下記の定義では、税金も含んでおり、これは政府所得ですが、それも含めた国民経済全体の総所得という意味で国民所得と呼んでいるのではないでしょうか?

前回、「乗数効果」を証明するときに使った2つの式
[総生産]= [消費]+[投資]+[政府支出]・・・(3)
[総生産]=[国民所得]= [消費]+[貯蓄] +[税金] ・・・(4)

小島先生の説明は分かりやすいので、私にも納得がいきます。小島先生の説明に反論されるのであれば、具体的に分かりやすく反論してもらえるとありがたいです。 

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