しばらく、マクロ経済学の話が続きましたが、たびたび引用している「不況のメカニズム」(中公新書、小野善康著)に、先進国では、「豊富の中の貧困」が起きやすいという趣旨の文章があります。高い生産力を誇り、物があふれているのに、成長率が低く、失業が増大するために貧困が生じるという意味だと思われます。ヨーロッパは従来からこのような傾向がありましたし、日本も同様の状況になっています。「豊富の中の貧困」が起きやすいということは、先進国ではデフレが置きやすいことを意味しています。今回の危機が一段落したといっても、デフレから脱却したことを意味するわけではなく、先進国中心のポートフォリオでよいのか再考する必要がありそうです。
このため、エマージング諸国への投資を増やすという意見もよく目にしますが、実際のところエマージング諸国への投資を増やすといっても、どの程度増やすのか不明確なことが多いようです。私自身は、元々、日本と西欧にはほとんど投資しておらず、投資先がエマージング投資に偏っていましたが、幅広く国際分散投資することをモットーにしている投資家の場合、先進国中心のポートフォリオをエマージング中心のポートフォリオに変えるというのであれば、相当大きな方針変更が必要なことになります。
エマージング中心のポートフォリオに組み替えるために必要なのは、リスク許容度の大きさですが、その意味で、今回の金融危機で非常に動揺したというのであれば、エマージング中心のポートフォリオに変えることでリターンが期待できるとしても、さらにリスクが大きな投資に変更することは無謀だと思われます。
必要とされるリスク許容度の大きさですが、今回の金融危機で起きたような下落は割りと頻繁に起きるので、「比較的短期間に1,000万円単位の損失が発生しても全く気にならない」ことだと個人的には考えています。この要件を満たせる個人投資家はそれほど多くないはずですが、相場状況がよいときには、エマージングへの投資比率を安易に上昇させてしまいがちなので注意が必要です。
先進国のデフレ状況が長引くので、エマージング投資だという主張にも一理ありますが、この場合にも、まず自分のリスク許容度を検討することを忘れるべきではないのでしょう。
こんにちは
株式の特性を考えてそうしているだけで、投資金額がそれほどでもないので損失額が大きくなるわけではないですね。
書かれているようにリスク許容度は、投資額が大きくなれば額で考える方がいいように思います。
ポートフォリオ
ポートフォリオをどうするかは個々の価値観が反映されるため正解というものが存在せず、よって何がベストかを論じるのは難しいですが、それゆえにあれこれ考えるのが楽しい問題でもあると思います。僭越ながら私は、World Federation of ExchangeのAnnual Reportにある各地域・各国の株式市場規模を参考にし、ETFをいくつか組み合わせて各地域・各国の比率がそれに近くなるようにしています。本当はACWIかVTだけを購入すれば楽チンでいいのでしょうが、それだと米国市場の比率が高くなりすぎるのと、信託報酬がちょっとだけ高めになってしまうので、いくつかのETFを組み合わせています。 また、これだと購入する毎にリバランスもできるという利点もあります。いずれにしても、気まぐれな市場やマスコミに惑わされない、“ぶれない”投資を淡々と続けていくのが一番大切なのだろうと思います。
これからも個性的な切り口の記事を期待しています。
投資額が大きくなれば額で考える方がいいように思います。
→そうですね。今回の暴落で大きなショックを受けて、退場してしまった方が多いです。割合で考えるべきだという意見もありますが、実際にそのように考えることができるかどうかは疑問です。
鶯谷庵の物見窓さん
おっしゃるとおり、個々の価値観が反映されるので、絶対の正解はありませんね。私自身も、仕事が減ったりしたら、エマージングへの投資を減らさなければならなくなるかもしれません。今後起こり得る悪い出来事も念頭に置きながら、なるべくぶれずに投資を続けるために、エマージング株式:円預金=1:1を目標にしようかと思っています。
新興国投資
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