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外国人地方参政権問題について その2

外国人地方参政権問題について検討しています。今後、テレビや新聞を賑わわせそうな話題なので、そのような雑音に惑わされることのないように、今のうちに、論理的な結論を出しておきたいと思います。

論理ではなく、情緒によって結論を出すのであれば、外国人にも地方参政権を認めるべしというのがリベラルな考え方といえるでしょう。しかし、仮に、日本が移民に頼るようなことになって、常住外国人人口が激増した場合に、外国人に地方参政権を与えたことを後悔することがないといえるでしょうか?ある政策に反対するために、特定の自治体に特定の国籍の外国人が移住して、その自治体の政策を左右することも考えられます。

従って、前回の記事の繰り返しになりますが、「外国人に地方参政権を認めることが国民主権に反しないか?」という視点で考えることが重要です。

前回の復習ですが、禁止説(外国人に地方参政権を認めることは国民主権原理に反し、違憲であるという考え方)の論理は以下のとおりです。

地方公共団体の長及び地方議会の議員は「公務員」である
  ↓
「公務員」の選定罷免権は、国民固有の権利である(憲法15条1項)
  ↓
地方公共団体の長及び地方議会議員の選定罷免権は、国民固有の権利である

国民主権原理というと堅苦しいですが、A社の取締役会のB社の取締役が出席して、議決権を行使するのはおかしいのと全く同じで、日本国の政治的に意思決定に、日本国民以外の者が関与するのはおかしいという意見です。

これに対して、外国人に地方参政権を認めても国民主権原理に反せず、違憲ではないという考え方(許容説)があります。下記の参考図書の著者はこの説に立っており、私自身も、この説が妥当だと思います。

地方公共団体は、国家の一部である点を強調し、国家と地方公共団体の同質性に着目しているのが禁止説です。しかし、地方公共団体は国家の一部であるとともに、「自治」体として、国家からある程度独立した団体であることも確かです。だからこそ、地方公共団体の長や地方議会議員は、国会議員とは別に選ばれるわけであり、中央政府と地方公共団体が完全に同質的な機関なのであれば、知事なども国会議員から選ばれるはずです。

そうはいっても、外国人に地方参政権を認めると、基地問題や航空行政(羽田空港の国際化の可否など)、原発の立地の可否のような重要な国家的問題が外国人によって政治的に直接左右されることは確かです。もっともな懸念ですが、その点に関して、許容説は、憲法94条を根拠にして、外国人に地方参政権を認めても(より正確に言えば、地方議会議員の選挙権を認めても)、国民主権原理が害されることはないと考えます。

憲法94条
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

つまり、条例というのは、憲法上、法律の範囲内でしか制定できず、法律というのは国民の代表である国会議員によって定められたものだから、外国人に地方参政権を認めても、国民主権原理に反することは法制度上はあり得ないというわけです。

参考図書では、ここまでで話が終わっていました。個人的に、許容説の結論に賛成しますが、法律(=国民の意思に基づく法規)が条例(住民の意思に基づく法規)に優位するから、外国人に地方参政権を与えてもいいという考え方にも幾つかの問題があるように思いました。

<参考図書>

外国人の参政権 (Sekaishiso seminar)外国人の参政権 (Sekaishiso seminar)
(2000/09)
長尾 一紘

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憲法の基礎知識がある読者向けですが、特定のイデオロギーに偏っておらず、終始、論理的且つ常識的な考察が為されており、お勧めです。若干(というより、かなり)難しいですが、この問題に興味がある方には必読の書だと思います。

(続く)


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コメント

新聞報道なので真実かどうか分かりませんが、その本の著者が自らの誤りを認めているそうです。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100128/plc1001282154020-n1.htm

えんどうさん

情報ありがとうございます。

長尾教授の考え方は、国民主権原理を重視したオーソドックスなもので、後書きにも、許容説と禁止説の論理的優劣は紙一重だという趣旨の記述があります。

私のブログのその3に私見を述べましたように、憲法94条のみを根拠とした許容説(ドイツの学説)には問題が多いと思います。

長尾教授も、本記事で紹介した書物に書かれていましたが、憲法論を足がかりにして、しっかりした政策論を打ち出すことが必要です。それができなければ、禁止説に戻らざるを得ないということなのでしょう。

選挙制度に工夫をこらさず、抽象的に、「違憲だ、合憲だ、判例は○○といっている、そうではない。」と騒いでいられる時期はそろそろ過ぎようとしていると思います。

このままだと、外国人住民と日本人住民が同等の権利を有する単純な制度が導入されてしまいそうです。もっとも、日本人住民の投票率そのものが低いのですから、それでもいいのかもしれませんが。

その後長尾氏が読売新聞に法案の危険性を寄稿しています。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20100215.htm
非常に明快な論旨だと思います。

Re: タイトルなし

> その後長尾氏が読売新聞に法案の危険性を寄稿しています。
> http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20100215.htm
> 非常に明快な論旨だと思います。

外国人地方参政権については、禁止説、要請説、許容説があるわけですが、いずれも、選挙制度を工夫せずに、単純に、外国人住民に日本人住民と同じ権利を付与する単純な制度を前提として合憲性を論じています。そのような議論の仕方では、いつまでも結論が出ないので、「国民主権と外国人地方参政権を両立できるような選挙制度は理論的に可能か?」という命題を検討すべきだというのが本ブログでの結論です。

民主党が大勝したことにより、数の上では、この法案は可決されてしまうはずです。こういう問題が数で決まることはまずいとは思いますが、一票の価値の平等や被選挙権の平等、特定団体への利益供与など、国民主権の国内的憲法問題についてことごとく軽視してきた自民党に大きな責任があるのではないでしょうか?

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