原田泰氏によると、政府のお金の使い方は、結局、公共事業と再分配のいずれかしかないそうです。この考え方によれば、「コンクリートから人へ」という民主党のスローガンは、お金の使い方を後者に絞ろうということです。
これに対して、「いや、再分配では成長しないから、公共事業をすべきだ。」という考え方があります。自民党の守旧派や亀井氏などです。民主党の小沢氏もこの系列に属するといえます。公共事業推進派の特徴は、「人相が悪い」ことです。
公共事業推進派は、はっきり言って、国民に人気がありません。民主党が失策続きでも、自民党の支持率が伸びないのは公共事業に頼る経済運営に戻るのはいやだと思っている人が多いからだと思われます。
しかし、再分配というのは、政府から国民にお金が渡るときに生産活動を伴わないので、再分配重視の政策に切り替えるのであれば、意味のある公共事業は存在しないことを証明すべきでしょう。不存在証明は難しいので、実際には、意味のある公共事業が存在することを公共事業推進派が証明すべきです。
そう言うと、以下のような発言が飛び出し始めるのが常でした。
A:M県に高速道路の建設が必要である。
B:治水対策にダムが必要だ。ムダなダムなどない。
C:山陰新幹線の建設。当然、全線フル規格だ。
D:電気自動車時代到来の前に、原子力発電所の建設。これしかない。
E:成田空港への新幹線の延伸。
それで、「上の発言と発言者を正しく結びつけよ。」という問題を出せば、小学生でも分かるという構図です。
正解は、
発言A=M県知事
発言B=ダム建設業者が支持基盤の政治家
発言C=島根県選出の政治家
発言D=原子力発電所の建設を得意とする企業のトップ
発言E=千葉県知事
これらの発言は、意味のある公共事業ではなく、自分が利益を得ることができる公共事業を羅列しているだけです。従って、こういう発言を繰り返すだけでは、国民の公共事業に対する嫌悪感は払拭できません。
では、どうすればよいのかということですが、「マクロ経済学的に意味のある公共事業とは何かを定義し、その作業の後で、定義に合致する公共事業を探していく」という作業を行う必要があると思います。
推理小説でたとえるならば、各人が自分の嫌いな人間を好き勝手に犯人呼ばわりするのではなく、綿密な推理で犯人像を描き出し、その犯人像に合致する容疑者を絞り込んでいくという作業が必要なわけです。
各人が好き勝手に犯人呼ばわりする状況では、声が大きい人間の意見が通るので、これまでの公共事業推進派の政治家は「押しが強くて、人相が悪い」タイプが多かったのでしょう。
名探偵役をこなせそうな政治家はいるのでしょうか?
(続く)
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